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コーディネート

はじめに注意していただきたいのですが、 スーツのようなフォーマルな服装に関してはドレスコード(服装の規則)が存在しますが 普通の服装ではそのようなものは存在しません。

また、上手なコーディネートの法則も存在しません。 というのも、同じような色と種類の服でも微妙な発色や生地、シルエット、柄の違いがあるからです。 同じようなアイテムなのに、あの人は違うと言うのはよくある話です。 また、中身の人にも大きく依存し、ある人に似合うコーディネートが他の人に似合わないことはよくあるのでお手上げです。 したがって、以下に書いてあることを鵜呑みにする必要はありません。

しかしながら、やはりコーディネートでしっくりこないことがあると思います。 その時に参考になるようなポイントを挙げてみました。

基礎知識


ベーシックカラー

一般に白・黒・灰・茶・紺・ベージュのいわゆる無難な色です。 実際に多くの服がこれらの色を含む色展開をしていることや、 コートなどではベーシックカラーのみの展開が多いことを考えると これらの色の汎用性が感じられると思います。


無印良品を利用したことがある人は、 無印の商品は深く考えなくてもあわせやすいと思うかもしれません。 これは無印の商品の多くが(ベーシックカラーに近い)アースカラーに偏っているために生じます。


色調

黒をベースにすると、シャープな感じ、フォーマルな感じがします。

一方、茶系を中心に組み立てると 黒を使う場合に比べ、より柔らかい感じ、カジュアルな感じが出ます。

黒と茶を同時に使うとやや難しくなります。この場合、茶をベーシックカラーと考えず、他の一般色と同じように扱うといいでしょう。 なお、スーツなどでは靴、鞄、ベルトを黒と茶のいずれかに統一するという規則があります。

紺は黒と茶の両方と合わせやすいと思います。 ただ、制服などのイメージが強いので一概に使いやすいとも言えません。 また、黒と合わせるときは暗くなりすぎる傾向があるので注意してください。

 
例えば中間色を得意とするSTEPHAN SCHNEIDER(ステファンシュナイダー)
を参考にすると


黒も使っていますが、グレーでまとめるとこのような感じになります。 かなり難易度が高いうえに、着る人を選ぶコーディネートです。

同系色

同系色とは同じ色味の仲間のことです。


同系色で色を揃えると、統一感があり、まとまった感じを与えます。

目立つ色

同じ色で統一感を出すのも一つの手ですが、カラフルな色を使うのも手です。 ただし、カラフルすぎるとうるさいだけなので注意してください。

       

色味を弱くすると激しさは薄れます。

     
季節感

服を着る際に季節感というのは重要な要素です。 例えば真夏に黒やこげ茶で固めたら暑苦しそうですし、 真冬に白やパステルカラーを多用したら寒そうです。
一般的に春夏は爽やかさ、秋冬は暖かさを意識することが多いようです。
また色だけでなく生地自体が春夏・秋冬向きであるものがあります。

春は明るく軽い感じ:花や新緑のイメージ

夏は元気で爽やかな感じ:海や空や雲のイメージ

秋はしっとりと落ち着いた感じ:紅葉のイメージ

冬は暗いながらも鮮やかに:夜の空と白い雪のコントラストのイメージ

このような感じをイメージの参考にしてはどうでしょうか。

知っておくと役に立つ!?


コーディネートの考え方

服飾において、避けるべきものは「不調和」と「単調」のようです。 前者は当然ですが(とはいえ、どのレベルを不調和とみなすかについては見解が分かれます)、 後者の「単調」も避けるべきものだとされているようです。 あとに述べますが、全身一色や上下デニムが難しいのも、 物やコーディネートを選ばないと単調になりがちだからでしょう。
無地だけで格好良く見せるのは難しいとも言われますが、それもやや間延びした印象を与えがちだからかもしれません。

このあたりは調和を重んじるインテリアとは考え方が異なるところです。 インテリアでは使われないような不自然な配色が服飾には多く使われることにも現れているようです。


他人の観察

他人を観察するのは非常に参考になります。 自分の好みに合う服装の傾向の人が多い場所で眺めてみるのはどうでしょうか。

さらに高度ですが、各ブランドのコレクションを参考にしてみるのもいいかもしれません。 トップからリンクが張られているfirstVIEWはどうでしょうか? BURBERRY PRORSUM(プローサム)あたりが参考にしやすいかもしれません。

コレクションのコーディネートをそのまま使うのは難しいですが、感覚を養うのは大切です。 結局コーディネートも感覚頼りですから…不本意ではありますが、これを読むより役に立つでしょう。

風景の色

色の参考になるのは街角ウォッチングだけではありません。 自然や風景などの中にもいい色は隠れています。 例えば緑と茶色は落ち着いた調和をしますが、この配色は木です。

また、青と白は爽やかな色合いですが、それは空の色です。

他にも紅葉の色とか

綺麗な海と砂浜の色

このように景色に限らず気に入った色は実際に試してみるといいでしょう。

コーディネートに困ったら


迷った時のパンツ

迷った時に無難なパンツはジーンズでしょう。
例えば街中で観察していてもジーンズをはいている人がかなり多いのではないでしょうか。 元々ジーンズがあわせやすい素材かは分かりませんが、 少なくとも見慣れているために「あうように見える」ことは確かでしょう。
また、服の色の合わせの汎用性が高いため、パンツの推奨としてジーンズを挙げてあります。 もちろん、常にジーンズがベストというわけではなく、ベターな選択肢どころか、 あまり良くない選択肢であることもあることはご注意ください。
ただ、ジーンズの場合は加工などによってかなりイメージが変わってきますので、 ノンウォッシュがいまいちでも加工物ならOKということもしばしばあります。


色が浮いている時は

何も考えずに組み合わせると、ある部分の色が浮いてしまうことがあります。 それぞれの相性が良いといわれるベーシックカラーで固めた時でも起こります。
そのような時は、別の場所に相性の良い色を持ってきましょう。 例えば、靴の色が浮いている気がしたときは、ジャケットに同系色を持ってくるとか、 同系色のジャケットがなければ小物でも改善されます。 隣接するアイテムよりも、離れたところにあるアイテムに持ってきたほうが良いようです。


目立つ色を入れやすくする

初めのうちは目立った色を導入するのには躊躇してしまうかもしれません。
そこで、狭い部分に目立つ色を入れる差し色ということをします。

右の例ではオレンジがアクセントになっているのが分かるでしょうか?
これなら慣れないうちでも抵抗なく明るい色を入れられると思います。

初心者には難しいコーディネート


一色のみのコーディネート

あまりやらないでしょうが黒一色はやる人がいるかもしれません。
例えば、黒のジャケットに黒のパンツに黒のシャツに黒の靴。 おまけに黒のセーターに黒のバッグに黒のマフラーをしてみたり。

構成要素はどれも普通どころか無難であり定番であるため、持っている数も多いでしょう。 コレクションでも黒一色のコーディネートは見かけます。
しかし、これは難しい着こなしで変人かもしくは喪服になりかねません。 慣れないうちは手を出さないほうがいいでしょう。


モノトーン

さすがに黒一色はやらないよ。という人も多いでしょう。 しかし、そんな人でもモノトーンは壁になると思います。
モノトーンとは(原義とは異なりますが)一般的には白・灰・黒の組み合わせを指します。 マニュアルの先に進んだ人は分かるでしょうが、モノトーンはお手軽でシックっぽく感じるので、好きな人も多いようです。 さらにモノトーン中心のブランドが結構あり、白も黒も数を多く持っていることが多いでしょう。

しかし、このコーディネートを素人がやるとつまらなくなりがちです。 そればかりか、モノトーンはごまかしが利かないため、ダサさと紙一重の非常に難しいコーディネートです。 服や小物で色を取り入れて慣れないうちは逃げた方が無難でしょう。

しかしながら、「モノトーンならお手軽にそれっぽく見える」という意見もあります。

上下デニム

ジーンズは非常に合わせやすく、重宝するアイテムです。
しかし、そんなジーンズをデニムのジャケットやブルゾン(Gジャン)にあわせると 途端にルーツである作業着になってしまうことが。 一概にダメだとは言えませんが、お気をつけください。


無難なコーディネートのポイント


あくまでも無難なコーディネートのポイントです。
最初の頃に参考になると思われるものを挙げました。

形のバランス

一般的に下にボリュームがあるものを持ってくると 安定感が出てあわせやすいといわれます。
また、上下同じ太さというのもやりやすいでしょう。 よって、それなりに太目のパンツは使いやすいと言われます。

色のバランス

下に重い色を持ってくると安定感が出てコーディネートがしやすいと言われます。 暗い色のパンツや靴をいくつか持っていると失敗しづらいと思います。 しかしながらこの場合も、白いスニーカーで軽い感じを出すということはよくあります。


柄物

柄物はその中で最も面積の広い色と考えて組み合わせるのが基本です。 慣れるまでは無難なもので固めたところに柄物を持ってくると 抵抗が少ないと思います。
また、差し色と同様に、面積を減らしておとなしくさせるのも有効です。
なお、花柄は柄が小さいもの、チェックは柄が大きいものの方が合わせやすいようです。

いらないものは身につけない

サングラスやアクセサリーなどを付けるのは腕が上がってからでも遅くないでしょう。 つけなくてもいい物を突っ込まれないようにつけるというのは難しいものです。

当然のことながらアクセサリーの有用性を否定するものではありません。 派手ではないけどおしゃれだなという人を見てみましょう。 アクセサリーを効果的に使っている人がいるはずです。 しかし、当面はシンプルな服装を目指しましょう。

ただ、マフラーなんかは暗くなりがちな冬の服装に明るい色を取り入れることができて 使いやすいと思います。

Last updated:Jul. 11, 2005